実施済

担当者紹介

静岡県工業技術研究所 食品科 主任研究員 長房秀幸

焼津市で生まれ、釣りや魚取りをして育ったので、水産物や海に対する思い入れは人一倍強いです。今も焼津市に住んでいます。子育てが忙しく研究の時間が取れないのが今の悩みですが、少しでもふるさとの活力に繋がればと思い、このプロジェクトを立ち上げました。

今回のプロジェクトでは、まだ利用されていない駿河湾の海藻を研究することで、駿河湾の底力を引き出し、静岡県に還元したい!という気持ちでスタートしました。
現代社会において、国民の約半数は何らかのアレルギー疾患を抱えており、社会的な課題となっています。一方で、いくつかの海藻は抗アレルギー作用を持つことが分かっています。
県が誇る駿河湾にも240種類以上の海藻が存在しますが、多くは未活用です。そこで、駿河湾から強いアレルギー抑制作用を持つ海藻を発見し、新たな活用法を生み出して県民の健康や新しい海洋産業の創生に繋げたい、と考えています。

担当者写真

研究内容

静岡県の誇る「駿河湾」は世界文化遺産である「富士山」の南側に広がる海です。深さは、最も深い地点で水深2,500メートルとなり、日本一深い湾で、海藻をはじめとして様々な水産資源の宝庫です。駿河湾には、多様な海藻が生育しています。その海藻を、メジャーなものからマイナーなものまで研究し、免疫のバランスを改善する作用を持つものを発見して、国民の多くが悩まされているアレルギーへの対抗策として活用できるようにしたいと思っています。

【プロジェクトの意義】
アレルギー患者の増加
私たちの体は、免疫という働きによって守られています。しかし、この免疫が誤った対象を攻撃してしまうと、「アレルギー」となります。日本では2人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われており、まさに国民病です。私も花粉症を患っており、この時期は非常につらい思いをしています。
アレルギーには様々な原因があり、1つの原因として、体の免疫のバランスが崩れることが挙げられます。近年は、様々な医薬品も開発されていますし、治療の際は医薬品が優先されるべきですが、我々は食品科。食品の力でも、アレルギーに対抗できないか?と考えました。

 

 

駿河湾の恵み、海藻

アカモク

 

駿河湾には様々な海藻が繁茂しています。その中でも注目されているのが、「アカモク」。かつては邪魔モク等と呼ばれることがあり、需要が低かった海藻ですが、近年の研究によって様々な生理活性が報告され、健康食品や化粧品の素材としても価値が高まっています。アカモクは、前述した免疫のバランスを整えることで、抗アレルギー作用を持つ可能性が報告されています。

アカモクに抗アレルギー作用があるのなら、他にも更に強い作用を持つ海藻もあるのでは?これが最初の着想でした。

 

そこで、今回の研究でも、第2のアカモクを目指して、駿河湾で取れるものの利用が少ない海藻の研究を進め更に強い抗アレルギー作用を持つ海藻を探していきたいと思っています。かつてのアカモクのように、県民の皆様も名前すら知らないような海藻が静岡県には存在しています。今回の試験でも良いデータが得られれば、未活用の様々な海藻の更なる高付加価値化、利用促進が目指せ、静岡県の経済的にも大きな利益になると考えています。

研究の概略図

 

例えば、「サガラメ」という海藻があります。静岡県内の地名「相良」(牧之原市)の名を冠し、以前は駿河湾でも多く見られましたが磯焼けなどによって、現在は自然海域では見られず、サガラメ復活に向けて様々な機関が努力を続けています。この「サガラメ」にも、もし良いパワーが見つかれば、復活の後押しになり、環境保全の一助になるのではないかと考えています。

他にも、万葉集にも詠まれた歴史の古い「ミル」や、糊としても使われる「フクロフノリ」など、研究してみたい海藻が多くあります。

海藻(カジメ)

成果報告

〇ふるさとチョイスGCF「目指せ!駿河湾の海藻でアレルギー改善!」
 https://www.furusato-tax.jp/gcf/2998

謝辞

おかげさまで、無事目標金額を達成することが出来ました。

金銭的な支援に加えて、温かいお言葉や情報拡散をありがとうございました。
特に花粉症やアレルギーを持つ方から研究の進捗を期待するお声がけを多くいただきまして、意義のある研究にしていきたいという思いをより強く持ちました。

寄付金は、研究のために大切に使わせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。

ご支援いただいた皆様

51の企業・個人の皆様