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担当者紹介

工業技術研究所 食品科 主任研究員 堀池隼雄

 大学時代のクラフトビール店でのアルバイト等をきっかけに発酵食品や微生物に興味を持ち、大学院では食品衛生に関わる微生物研究に従事しました。その後は民間食品メーカーを経て静岡県庁へ入庁し、乳酸菌を用いた発酵食品の開発や、食品中の微生物数を制御する研究に取り組んで参りました。
 静岡県は食品産業が盛んで、製造過程で生じる副産物の有効活用が重要な課題となっています。微生物の力を活用し、この課題の解決に貢献することで、静岡県の産業や地域がより活気づくお手伝いができればと考えています。

担当者写真

研究内容

本プロジェクトで解決したいこと

 世界人口増加や地球温暖化により、将来的に畜肉などのタンパク質の不足が懸念されています。この課題を解決する方法として、微生物由来のタンパク質が注目されています。これは、微生物自体を培養して食材にするというアイデアです。

 静岡県は食品・飲料の製造が盛んで、その過程で副産物が発生します。この副産物を栄養源として微生物を培養することで、国内で生産可能な食品素材の開発を目指します。

麹菌タンパクとは

 本プロジェクトで利用する麹菌は、日本の伝統食品(醤油、日本酒、甘酒)づくりに欠かせない微生物です。例えば、甘酒製造において麹菌は、米のデンプンを分解して甘みを引き出します。このように、食材のもつおいしさの「引き立て役」として食文化を豊かにしてきました。

 しかし、本プロジェクトでは、麹菌自体をたんぱく質源として大量培養して食べる、いわば「主役」の食材としての活用を目指します。

麹菌タンパクの優位性

 麹菌は糸状菌という、長い糸状の形をした微生物の一種です。糸状菌を用いた海外の微生物タンパク食品は、牛肉と比べ、生産段階における環境負荷が低いとされています。また、糸状菌特有の繊維状構造は、肉のような食感を再現しやすいと期待されます。さらに、本プロジェクトのように食品の副産物を使うことができれば、培養コストを削減でき、他の新規タンパク源よりも価格面で優位です。これまで活用されていなかった副産物中の栄養成分を麹菌がエサとして取り込むことで、高タンパクな食品に変換できる点が強みです。

本プロジェクトで取り組むこと

 本プロジェクトでは、静岡県で盛んな日本酒、茶、水産加工品等の製造で発生する副産物の利用を検討しています。

 第一の目標は、麹菌を効率的に育てることができる培養条件(副産物の種類や濃度など)を明らかにすることです。これまでの予備検討から、適切な条件下では、5日程度で麹菌を回収できると想定されます。

 第二の目標は、回収した麹菌に対し、粉砕や加熱加工を行うことで、肉や乾燥粉末などの食用に適した形態の試作品をつくることです。肉状の形態が分かりやすいですが、粉末化することでプロテインや加工食品の高タンパク原料としての利用も考えられます。

 さらに、第三の目標は、試作品の特長解明です。特に、食品で重要な安全性のうち、微生物学的な安全性(保存性)を評価します。常温、低温、高温帯に保存したときに、雑菌がどのくらい増殖するかを調べ、食品素材としての安全性と品質を評価します。

【開発する食品素材のプロトタイプ】

食品副産物で育てた麹菌を集めて肉のように調理

 

詳細・御支援はこちら

https://www.furusato-tax.jp/gcf/5564